こころ、ふわり


澪が気をつかったように


「萩……大丈夫?」


と小声で尋ねてきたけれど、返事も出来なかった。


「ごちそうさまでした。先に教室行ってるね」


私はそれだけ言い残して、澪と若菜を置いて食堂から出た。


というよりも、飛び出した。


フツフツとわいてくる、芦屋先生への怒り。


なんでよりによって学校なんかでよくそんな信じられないことが出来るな、と腹ワタが煮えくり返る。


芦屋先生の耳元で、最大級の大声を出して「バカ!」と罵りたいぐらい気分が落ち込んだ。


やっぱり玉木先生と付き合っているのかな。
玉木先生の猛アタックにほだされたとか。


うちの学校は先生同士で結婚した人も少なくはない。


私立の高校ともなると出会いの場が少ないのか、先生同士で恋に落ちるというのはよくある話らしい。


だからって。
なんで学校の中で。


教室へ戻ったあとも、イライラはおさまらなかった。

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