こころ、ふわり


「あはは、若菜のおかげで少し気が楽になったよ」


私に笑顔が戻ったからか、若菜は少しホッとしたようだった。


「ずっと隠しててごめんね。でも、ほら。振られちゃってるし」


好きだった人が芦屋先生ということは知ってもらってても問題は無い。


付き合っていたことは言わないつもりだ。


「そっかぁ……。萩のこと振るなんて、本当に見る目ないね」


若菜はなんだか寂しそうにそう言ったあと、気を取り直したのか


「それにしたって、教室で玉木先生のこと押し倒すとかどういう神経してんだろ。そんなことするタイプだったなんて意外なんだけど」


と、首をかしげた。


「も、盛り上がっちゃったんじゃないの?玉木先生、綺麗だし……。それでつい、手が出ちゃったとかさ」


体のいい言い訳を自分自信にも言い聞かせながら言葉にしてみる。


でも、言葉にすればするほど、芦屋先生らしくない行動だと思った。


それは澪も思っていたらしく、口元に手を当てて考えるような仕草をしていた。


「そういうことは絶対にしなそうなのにね、透と違って」


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