こころ、ふわり


「お前が元気ないのって、やっぱりあいつのせい?」


真司は見透かしたような目で私を見ていた。


分かってるならいちいち聞かないで欲しい。


だからと言ってそんなことを言えるはずもなく、私は苦笑いだけを返した。


「俺さぁ、ずっと考えてたんだ。お前に振られてから」


「え?」


突然、真司が変なことを言い出してきたので私はびっくりして彼の顔を見た。


「覚えてるか?去年、気持ちは変えられないからって俺のこと振ったの。だから俺も気持ちは変えられないよって言っただろ」


「う、うん……」


もちろん覚えてはいるけれど、真司から今までその話をしてくることが無くなったから、すっかり過去の話になっているものと思っていた。


「今も気持ちは変わってないんだけど、お前を困らせるだけだと思ってずーっと言わないでいた」


真司の話を聞きながら、私は反応に困ってしまってなるべく目を合わせないように顔を背けた。


このままじゃまずい、と心のどこかで焦る。


「告白される、と思ってるだろ?」


なぜ私の思っていることが分かるのだろう、と疑問に思うくらい、真司は私の心を読む。


今もまたそうだった。


「最後まで話を聞けって」


真司は笑っていた。

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