こころ、ふわり


そうだ。


こんなところでうだうだと悩んでいる暇があったら、芦屋先生に会いに行った方がいいんだ。


うまく話せないかもしれない。
でもそれでもいい。


後悔だけはしないようにしたい。


芦屋先生が玉木先生のことを好きになってしまったとしても。


このまま卒業までずっと悩み続けて、何も手につかないんじゃどうしようもない。


真司に背中を押されるまで気づかなかった。


「ありがとう」


私は真司にお礼を言った。


「私も真司のこと、好きだよ。友達としてだけど」


「え?俺、また振られた?」


ふざけたような口調で真司が笑う。


私も思わず笑ってしまった。


「本当にありがとう。まさに良き理解者だね」


決意した私は彼に手を振ると、屋上から校舎へ戻った。


今日、部活の練習が終わったら。


ここ数ヶ月のモヤモヤを芦屋先生に伝えに行こう。


私の全部を伝えたい。


そう心に決めた。



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