こころ、ふわり
その日、学校に行った私は、まずは菊ちゃんに。
そして、澪と若菜に、すべてを話した。
すべて、と言っても告白したところまで。
キスのことだけは自分の中にしまい込む。
菊ちゃんとは朝の登校する短い時間しか話せなくて、かいつまんで話すことしかできなかった。
でも、3人とも私の晴れやかな顔を見て安心していたようだった。
教室から出て、廊下で話を終えた私に、澪が何も言わずに抱きついてきた。
「萩。頑張ったね。本当に頑張ったと思う」
「はは、澪にそう言われると泣いちゃいそう」
苦笑いする私の横で、ひと足先に若菜が涙目になっていた。
「つらいよね、萩……。だって嫌でもこれからも顔を合わせなきゃならないのに……」
「ううん、もう平気」
私が否定したからか、澪は体を離して不思議そうに首をかしげていた。
「どうして平気なの?」
澪と若菜はキョトンとしたような顔で、まったく同じような目で私を見つめた。
2人の視線を感じながら、私は
「昨日、すべて出し切ったから。今は’無’なの。もうこれからの高校生活は、勉強と部活に専念する」
と片手を挙げて宣言した。