こころ、ふわり
キャッチボールをしている先生の姿はなかなか新鮮で、私は少しだけドキドキしながら目で追う。
すると、教室に星先生がやって来た。
「吉澤さん、おはよう」
「あ、おはようございます」
永遠に芦屋先生を見ていたいという気持ちを抑え込んで、視線を星先生に向けて挨拶を返す。
「早速始めようか」
星先生にそう言われて、うなずいた。
弓道部に3年間いたおかけで、面接に必要な礼儀作法はしっかりと体に染み込んでいて、その点は問題ないと言われていた。
時々言い詰まってしまう敬語の使い方の指導を受けたり、星先生を試験官に見立てて実践してみたり。
1週間の間、みっちりと面接のテクニックを教わった。
他にも面接の練習をしに時間ごとにクラスメイトがやって来るので、正味1時間半くらいだろうか。
「吉澤さんは緊張しないで、落ち着いて受け答え出来れば何も問題ないからね。そんなに考え込まなくても大丈夫」
星先生はいつも私をやたらと褒める。
修学旅行の実行委員を引き受けて以来、基本的に私には甘い。
みんなが嫌がる役目をやったからなのか、優しくしてもらえることはありがたかった。