こころ、ふわり


「お前、その反応失礼だと思わない?」


「ご、ごめん……」


ちょっと笑いながらジロッと睨んでくる真司に謝った私は、


「でも、良かったね。おめでとう」


と祝福の言葉をかけた。


「誰かさんがデートの誘い断らなければ、全国大会行けたかもしれないのにな」


真司の嫌味ったらしい言い方は、私の胸をチクチクつついてきた。


実は、この夏の地区大会で優勝した彼に再度告白され、今度は県大会を優勝できたら、またデートをしてほしいと言われたのだ。


私が即座に断ったことを根に持っているらしい。


「ショックで県大会じゃ実力出せなかったからなぁ」


ニヤニヤと笑みを浮かべる真司の顔をまともに見れず、私は目を伏せた。


「ごめん……」


「冗談に決まってるだろ。ほんとお前って冗談通じないんだから」


真司は私が断ったりしてもこうやって声をかけてくれるから、だから私もいつも通りに接することが出来るのだ。


それは彼に感謝したいところだった。


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