こころ、ふわり
私は「ハイ」と返事をするのがやっとだった。
真司の無神経さを呪いつつも、思わぬ展開に胸が高鳴ってしまった。
もう半年近くきちんと話していないからか、先生の表情や声が懐かしくて。
フル稼働する心臓が痛くて苦しかった。
何か話さなきゃ、何か話さなきゃ、と頭の中で繰り返した結果、一番に思いついたことを口にした。
「せ、先生!夏の大会……見に来てくれてましたよね?」
先生はちょっと目を細めて、なんとも言えない気まずい顔をして
「……うん。ごめん。迷惑かなって思ったんだけど。気づかれてたんだね」
と言った。
「全然迷惑なんかじゃないです。嬉しかったから……。ありがとうございました」
お礼を言う私に、先生は気にしないで、とでもいうように首を振った。