こころ、ふわり
28 想い合い
━━━━━卒業式の日を迎えた。
天気予報は雨だったのに見事に覆して晴れになり、まさに卒業式日和だった。
3年間袖を通してきた制服に身を包み、ブレザーの右胸の部分に卒業生がつける赤い花の簡素なブローチをつける。
教室ではこれから式典に向かうというのに、ギリギリまでカメラで写真を取る生徒が多かった。
私はというと、卒業式や写真撮影なんてどうでもよくて。
明日の澪の結婚式の方が気がかりだった。
彼女の結婚式には菊ちゃんも呼ばれていて、この間若菜と3人で着ていくための服を買いに行った。
高校生の私たちは、親戚の結婚式に出たことはあってもさすがにこの年で友達の結婚式には出たことがなかった。
今までは制服で出席すれば問題無かったけれど、澪の結婚式は卒業後におこなわれるから制服というわけにもいかない。
私たち3人は、それぞれ色も形も違うワンピースを購入して明日のために備えていた。
当の本人の澪は、本当に明日結婚式するのかというくらい落ち着いていて、招待された私たちの方が浮き足立っていた。