こころ、ふわり
それぞれみんなで記念撮影したり、卒業生から先生へ寄せ書きを書いた色紙を渡したり、最後の思い出作りをした。
菊ちゃんは後輩からとても慕われていたので、ツーショットで撮りたがる子が多く、私は撮影係に徹した。
もう、みんなともなかなか集まれないと思うと少し寂しい。
私は最後に、自分のカメラで弓道場を撮ってから外へ出た。
携帯を見ると、卒業式を見に来てくれていたお母さんからメールが来ていた。
『駅前の喫茶店にお父さんといるから、終わったら電話ちょうだい』
今日はこのあと、3人で外食をしてから帰る予定だった。
分かった、とメールを打ってからふと美術室に目を向ける。
そういえば、芦屋先生はどこにいるのだろう。
専門学校に合格したことも話したかったし、なによりも、明日の澪たちの結婚式のあとに時間を作って欲しいと伝えたかった。
賑わうグランドを横目に、私は美術室へ向かった。