こころ、ふわり
それから1週間が経ち、学校は夏休みに入った。
だからと言って私が所属する弓道部を含めた運動部に、夏休みは無い。
勉強はしなくても部活のために、相変わらず毎日学校に通う日々を送るのだ。
そんなある日のこと。
練習中に手首を捻って痛めた私は、湿布薬をもらいに保健室に向かっていた。
先輩に借りた凍らせたペットボトルを左手首に当てて、袴姿のまま廊下を進む。
すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「おーい、おはぎ」
この声の主はすぐわかった。
同じクラスの倉本真司。
陸上部に所属していて、何かと私にちょっかいをかけてくる男子だ。
おまけに私の名前が萩だからといって「おはぎ」というあだ名をつけたのは彼だ。
彼のせいでクラスの大半に「おはぎ」と呼ばれるハメになった。