こころ、ふわり


この資料室は何度か入ったことがあるけれど、狭い室内にアルミ製の大きなラックが並んでいて、たしか社会科で使う資料などが置いてある部屋だ。


基本的に職員室での鍵管理だったはず。


芦屋先生と私が音を立てないようにそっと資料室に近づいていくと、今度はハッキリと資料室の中からカタン、という音が聞こえた。


恐怖と好奇心の狭間で私の手が震える。


でも、芦屋先生と一緒ならきっと大丈夫。


先生の表情をうかがうと、当たり前だけれど全然怖がっている様子もなく、むしろ怯えている私を気づかってくれているようだった。


「開けてもいい?」


静かに耳元で先生に尋ねられる。


こんな時なのに、先生の声は小声でも素敵だと思ってしまった。


思い切ってうなずいた私を見た芦屋先生は、素早く資料室のドアを音を立てて勢いよく開けた。


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