こころ、ふわり
校舎を出てから校門へ向かう途中で、部活を終えて道具の片付けをしている陸上部の部員達が私の横を通り過ぎた。
その中に真司の姿もあった。
彼も私を見つけたようで、一瞬気まずそうな顔をした。
でもそれは、本当に一瞬のこと。
すぐにいつもの表情になると、私に
「じゃあな」
と言って、他の部員達と共にいなくなった。
私はなにも返事を返すことができなかった。
今日の真司はちょっと変だな、と思ったのだ。
私の態度が彼をイライラさせてしまったのだろうか。
今の態度はいつもの彼だったけれど。
気を取り直して歩き出し校門を出たところで、女子生徒が立っているのが分かった。
「あっ……」
その人を見た瞬間、私は無意識に声を出してしまった。
彼女はこちらを振り返る。