わたしとあいつ
お昼が一番憂うつだった。


友達が出来なかったあたしは、いつも一人、屋上でお弁当を食べていた。


「先客がいたか。」


その言葉を聞いて、バッて後ろを見ると、そこには威が立っていた。


「ビックリしたぁ。」

あたしはほっと胸を撫で下ろす仕草をして、脈打つ心臓を落ち着かせた。


「そんなにビックリしなくてもよくね??」

威は苦笑いしていた。


「ってか、お前一人??友達は??」


「作るタイミング逃しちゃって。いつも一人。」


視線を落として、でも出来るだけ明るく聞こえるように、喋った。


「意外に不器用なんだな。」


そう。前の学校でも、友達作りのタイミングを逃して、1ヶ月くらいずっと一人だった。

そこに話かけてくれたのが慎だった。


「なんかねぇ。人見知りっていうか、人が怖くて。」


そう。人が怖かった。

中学3年間、あたしはイジメにあっていた。そのせいで、軽い対人恐怖症になっていた。
大人数で話かけられると、体が強ばって、返事するのにいっぱいいっぱいだった。


「うちのクラス、からかう奴は多いけど、みんないい奴だからさ。そんなに怖がんなよ。」


なっ??って向けられた顔があまりにも寂しそうだったから、あたしは、なんか申し訳ない気持ちになった。


「うん。頑張ってみるね。」

あたしはめいいっぱい笑顔で返事をした。

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