愛想人〜アイオモイビト・幼なじみ〜
「ちょっと…無視しないでくれるかしら?」
苛立っているのか眉間にシワが寄っている。
「ごめんなさい」
とりあえず表面上はしおらしく謝っておくが内心では悪態をつきまくりだ。
「あ、安心してください。 あたしと王子はただの友達って感じなので」
ニッコリと笑顔を添えて言う。
そう言うと何故かそのお嬢さまっぽい人は頬を朱く染めて
「それならいいわ」
とだけ言って去って行った。
はぁ………。
一難去ってまた一難。
あたしの場合、去ってもない内に難が降り懸かってくるんだけどね…?
「梨羽、お見事〜」
パチパチと小さな拍手も聞こえてきた。
振り返るとさっきまで一緒にいた魁迩と桐先輩、それからどこから湧いてでたのか─これの事の原因─絢がいた。
めちゃくちゃ可愛らしい笑顔だが…今はなんだか小悪魔の笑顔に見えるのだが…気のせいだろうか?
………。
いや、気のせいなんかじゃない。
プリティ王子こと絢は腹黒王子なのでした、ちゃんちゃん。
「梨羽? 全部声に出てるよ?」
背筋が凍るような怖い声が聞こえた。