愛想人〜アイオモイビト・幼なじみ〜
あたしは絢と魁迩の二人を避けるようにして一日を過ごした。
いつも側には誰かがいたので一人がこんなにも寂しいものだとは思いもしなかった。
あたしって随分と周りのみんなに甘えてたんだなぁ………。
自嘲気味に笑いながら下駄箱へ行くとそこには人影が。
あの姿…。
「絢?」
つい言葉に出てしまった。
しまった…と思うが時すでに遅し、だ。
「━━━━━………」
結局一緒に帰っているあたし達。
さっきから絢が何かを喋っているのだが上の空だ。
絢の言葉に適当に相槌をうっているだけ。
「………。 オレが話してるっていうのに上の空だなんて…いい度胸だね?」
悪魔の声にハッと我に返る。
しかし我に返るのが遅すぎた。
悪魔様は最高に悪戯で妖艶な笑顔を浮かべていた。
そしてあたしはいつの間にか壁と絢の間に挟まれている。
「お仕置き…」
耳元で極上の甘い声であたしに囁いたかと思うとすぐに唇を奪われた。
啄(ついば)むようなキスから舌を絡める濃厚なキスへ…。
胸が爆発しそうなぐらい暴れていたのにあたしは気づいた。