愛想人〜アイオモイビト・幼なじみ〜

「んで? 結局なんで雨の中傘もささず走って帰ろうと?」


あ、そうだった。


最初の疑問点?はそれだったんだよね。


すっかり忘れてたよ………。


「あー…色々ありまして………」


口ごもりながら答えると


「ふーん」


と興味なさげに返された。


自分から聞いといてそれかよ!!とツッコミたくなったが言うのも面倒だったしこれ以上何か言われるのも嫌だったのでやめておいた。




「じゃあ………」


傘を開いてこちらに振り返る桐先輩。


そして何を思ったのか徐(おもむろ)にあたしの腕を掴んで引っ張ったかと思うと肩を抱かれた。


あまりにも突然のことで声も発することが出来ない。


落ち着きを取り戻して慌てて桐先輩に聞いた。


「ちょっ!! なんで二人で一つの傘!? てか桐先輩何考えてるんですか!?!?!?」


今、桐先輩の大きめの傘に二人で入って相合い傘をしてる感じ。


ってゆーか…モロに相合い傘ですね………。


相合い傘って初めてだけど…こんなにも密着するんだ。


うわー…なんかドキドキするかも………。


これは初めての体験だ。





< 63 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop