小さな恋のうた
うちに帰ると、もうモモが帰ってきていて、奥でおやつを食べていた。

そんなモモを横目で見ながら、母さんにさっき会ったジイさんの事を話す。

「そういえば、さっき会長さんがみえて、レンがどこに行ったか聞いてたわね・・・ほんとに会いにいったんだ。」



会長さんって誰って聞いたら、父さんの事務所の元社長だって教えてくれた。



「この人?なんか外人みたいな名前の人だけど・・・」

僕はさっきもらった名刺を母さんに渡すと、そうそうこの人だよって笑って言った。


「レンは興味あるの?やりたいならやってもいいよ。」


母さんは、いつも僕達のやることに反対なんかしたこと無かった。
やりたいことは、何でも協力してくれるし、間違ってしまった時はちゃんと叱ってくれる。

だから小学生の六年間は、ずっと少年野球もやらせてもらっていた。



「それより僕、野球部に入りたいんだ。5月までには、どこの部活に入るか決めなきゃいけないし・・・」

いいじゃない!頑張ってやるんだよって、母さんはにこやかにそう言ってくれた。


「でも、こんなちびでも、大丈夫かな?」


小学生のころは、みんな同じくらいの身長だったから気にならなかったけど、最近同級生はみんな、どんどん大きくなっていくんだもん・・・

まだモモと身長もそんなにかわらないし。


「大丈夫よ。レンはまだまだ大きくなるわよ。それに、小柄の野球選手がいたっていいじゃない?」

「そっかそうだよね!」


なんか、母さんに相談すると、いつも安心するな。

< 4 / 82 >

この作品をシェア

pagetop