小さな恋のうた
そして僕は、居間に上がってモモの隣に座った。

「ねえ、やけに帰るの早いじゃん?ちゃんと勉強してきたの?」

モモはずっとふてくされて、黙々とおやつを食べながら、カフェオレを飲んでる。


「つまんないから、帰ってきちゃった・・・
何で男子って、あんなにしゃべんないの?」

図書館なんだから、おしゃべりしてちゃダメじゃんって言ったら、そうだけどってちょっと黙った・・・


「ビトならなんでもモモお話聞いて、ちゃんと答えてくれるもんね。」

何でビトの話するのよって、モモは怒り出す。
マジで振られたとでも思ってるのかな?



「そういうレンは、好きな女子とかいないの?
もう中学生なんだから、そういう子がいてもいいじゃん。」

不意に反撃されて、そういえば考えたこと無かったなって思った。



いつもモモの心配ばっかしてたから、他の女の子のことなんて、考える暇がなかったのかもな?

ちょといいなって思ったのは、サチコ先生ぐらいかな?生け花を習っていた時の。


うちのお母さんは有名な華道家で、母方のおじいちゃんはそのお花の家元だったりしてたから、僕たちは10歳ぐらいの時から生け花を習ってたんだ。



「レンは父さんと同じで、年上の方が好きなんでしょ?w」


なんだよそれって言ったら、やっぱりサチコ先生の事をいわれた。


「だって、おじいちゃんとこでカズおじちゃんに習った時よりも、
サチコ先生のとこに行くようになってからのほうが、妙に張り切ってるじゃん。」



だって、おじいちゃんとこだと大人ばっかで緊張するけど、サチコ先生んのとこは普通の家だし、同じ年の子も多いから緊張しないんだもん。

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