小さな恋のうた
慌てて追いかけようと思ったら、母さんが「私が行くから」ってゆっくりに上にあがって行った。


僕はモモが喜ぶと思ってたのに、なんであんな事言うんだろうって不思議だった。

内緒にしてたってことが悔しかったのかな?




色々考えていたら、父さんが寝巻きのまま降りてきた。


「どうしたの?なんかモモの様子がおかしかったみたいだけど。」

父さんも心配している。


「なんかね、ビトが事務所に入たことがモモちゃんにばれちゃって、何で内緒にしてたのって怒っていっちゃった。」

べべさんが、まずかったなってちょっと反省してた。


「私もビトに、自分で言うまで秘密にしててって言われてたのに・・・後でビトにも怒られちゃうな・・・」


全くべべは余計なことばっか言うんだからなって、父さんは笑った。


「大丈夫だよ、リンが行ったからちゃんと慰めてあげるだろ。」


別にたいしたことじゃないのにさ、モモは最近ビトのことになるとムキになるよねって、父さんはそう言った。

「それは、ビトのことが好きだからじゃない。」

僕が何気なくそう言ったら、「えっ!そうなの?」って父さんは新鮮に驚いた。


子供の頃から見てるくせに、そんなことも気付かないのかよ。



「なんか複雑な気分だな・・・」

父さんはそのままうなだれた。
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