小さな恋のうた
ずっと子供のたわごとだって、気にしないでいたってそんな風にも言った。


「ビトは最近妙に大人っぽくなってきたから、タクちゃんも心配でしょ?w」

べべさんはそんな父さんに追い討ちをかけるように笑う。

「なんだよ、ビトはレンと同い年じゃん、まだまだ子供だよ!!」

なんかホント、父さんはモモのことになるとムキになるんだよな。


「大丈夫だよ、ビトはモモちゃんだけは大事にしてるから、なんもしないと思うよ。」

べべさんは、さらにからかうように父さんにそう言ったら、「モモだけはってなんだよ」って突っ込まれていた。

「教えなーい、タクちゃんも自分が中学生の頃どうだったか、胸に手を当ててよく思い出してみれば?」


ああ、べべさんももうあのこと知ってるのかなって、何となくそう思った。

この人も、うちの母さんと同じで鋭いからな。


「俺が中学のころは、まだガキだったよ。」

父さんはそれだけ答えた。




「ビトはさ、タクちゃんに憧れてるんだから、ちゃんとしててよね!?」


ああ、そんなこと言ってたなって、僕もビトが言ったことを思い出した。



なんだよそれって父さんが聞きかえす。


「モモちゃんがファザコンだから、タクちゃんみたいになれば好きになってくれるんじゃないかって、そう思ってアイドルになる気になったんだって。」

松本のおじさんががそれ聞いて、なんで俺じゃないんだよって凹んでたよって、また笑ってべべさんは言った。



「まあしょうがないよ、俺もスターだから。」

父さんもふざけたように鼻で笑いながら、そう答えた。


「でもさ、今はそれだけじゃなくて、ほんとにやる気になったみたいだよね・・・今日も張り切って、レッスン行ってくるって出かけていったもん。」

じゃあ今日はうちにこないかなって聞いたら、夕方頃には来るんじゃないって言われた。

「モモちゃんと、なにか約束してるみたいだよ。
毎日会いに行くとか何とか・・・」

へえそうなんだって、僕は何となく答えた。

もうつきあってる感じなのかな?ちゃんと話してるのかな?

ちょっとモモのことも心配になった。
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