小さな恋のうた
ねえ、もっとゆっくり大人になろうよ

まだ子供のままでいいじゃん

二人でいつも一緒に話したり遊んだり

それだけでいいじゃん



ビトの手を握り返して、そんな気持ちが伝わればいいのにって思った。

言わなきゃわからないのにね。






「モモちゃん、僕がもっともっと大人になるまで、待っててくれる?
僕はずっとモモちゃんだけが好きだから。」


ふとビトの目を見たら、潤んだ瞳で私をまっすぐに見つめ返してくれていた。

私は思わず、そのまま頷いて、今度は私からビトにキスをした。



自分からしちゃったのに、なんかだやけに恥ずかしくなった。
ビトはそういうのに慣れているのか、とってもキスが上手。
思わずうっとりと、時間が止まったような気もした。



胸の鼓動がビトにも聞こえちゃうんじゃないかな。

やっぱり私は、ビトが大好きなんだ

ずっとずっと昔から


そう出会った頃から。




でもどうしても恥ずかしくて、素直にはそう伝えることはできなかった。
ビトはいつも、まっすぐに私にそう言ってくれるのに。
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