小さな恋のうた
「私もうビトの出るコンサートはこないようにする」

モモは終了後にそんなふうに言った。

「なんで?ビトはモモに一番見てもらいたいんじゃないの?」

そうなだめたんだけど、やっぱり行かないってだだをこねるように言った。



「あんな人気のあるビトを見てるの、まだなれないっていうか・・・見てるのキツイよ・・・」

ああ、ただのヤキモチかって思ったら、なんかちょっとおかしくなった。


「しょうがないじゃん?そういうのも分かってあげなきゃ。
いちいちファンにヤキモチやいて、どうすんだよ・・・w」

そうだけどってモモはやっぱり俯いていた。



「じゃあ、楽屋に挨拶に行ってくる?」

僕はいつもコンサートの時はそうだから、入れると思ったんだけど、よくみたら一般のチケットだったし、関係者のとこから入ってないし無理だよってモモに言われてああそうかと気がついた。


「いいよ、もう帰ろうよ。」





そうだねといって、二人で会場を出ようとしたら、後ろから聞いたことのある声に呼び止められた。



「あれ?レンじゃない??どうしてここにいるの??」

え!って振り向いたら、そこにはカオリさんが友達と一緒にいた。


「カオリさんこそ、何でここにいるの?」


僕もビックリして答えたら、Jrのアキラとかって人のファンなんだって、うちわを見せてくれた。


「なに、レンは彼女の付き添い?」

そう言われて、双子の妹だよって慌てて訂正した。



「エー双子って、ぜんぜん似てないじゃん?ウソっぽいなー」

そういわれたけど、本当だからしょうがないじゃん。



「カオリさんこそ、アイドルの歌聞くなんて意外だね。
そういうの嫌いかと思ってた。」

そう聞いたら、ライブ仲間には内緒ねって笑う。
< 74 / 82 >

この作品をシェア

pagetop