悩める高校生時代
屋上物語
唯一の楽しみ
――――ガチャッ
学校の、何も無い屋上。
私は辺りを見回した。
(――――………居ない)
自分しか居ない事を確認し、それでも姿を見られないように影のある所へまわった。
そして小さく息を吸い込む。
「♪~……♪♪……~……」
大きな声では歌わない。他の人に聴かれたら嫌だから。
でもこの屋上だけには響くような音量だと思う。
曲名は……………あぁ、なんだっけ。
思えば歌詞も曖昧だな。
まぁいっか。
満足したところで、キリのいいところで歌うのを止めた。