悩める高校生時代
すると先生がやってきて、級長が号令をかけると端的に授業が始まった。

(………現代文ってイマイチ勉強の仕方分からないんだよな……)

奏恵は教科書を朗読している先生をじっと見つめながらぽつりとそう思った。
板書をノートに写す時も、これって無意味なんじゃないかとか思う時がある。中間や期末の試験週間でも、先生が範囲のプリント配ったりするし、ノートを見ても何が何だか分からない。
何もしなくても平均点は取れる。

けれど模試になるとそれが利かないのはどうしたものだろう。
問題を沢山解いたら分かるようになるのだろうか。
…………どの教科もそうか。


そうこう考えていると先生が教科書を教卓に置いて、それを覗き込むように俯いた。
すると奏恵はある事に気がつき、「先生、」と声を上げた。
教室の空気は「またかよ」と聞こえてきそうな程うんざりとしていた。

「何?」

先生は苦笑いをして奏恵を見返し、奏恵は自分の頭部を指さしながら指摘した。



「チョークの粉、いっぱい付いてますよ」



すると突然、クラスのほとんどが吹き出し、笑いの渦となった。
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