悩める高校生時代
授業が終わると狩賀は真っ先に奏恵を捕らえ、他の生徒を追い出すように物理室の戸を閉めた。

「お前さ、授業中くらいおとなしく出来ねぇの」

狩賀は呆れたように奏恵を睨んだ。いや、彼は睨んでいるつもりはないが、もともと目付きが悪いから嫌でもそういう風に捉えられてしまう。
一方の奏恵はうん?と首を傾げ、どうしてそのような事を言われるのか理解不能とでも言うように返した。


「だって虹ってすぐ消えちゃうんですよ?見れなかったら損じゃないですか。しかも今日のを含めても、私生まれてこのかた3回しか見た事ないです」


奏恵は首を傾げてまた外を見た。もう虹は消えている。
奏恵は名残惜しげな顔をして溜息を吐いた。

それを見ると狩賀は諦めたように俯いた。


「……………余計なお世話かもしれねぇけど………」

「?」

「これからどうすんだよ」


狩賀は近くにあった椅子を引き摺りだして座った。
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