悩める高校生時代
「成績が特に悪いわけでもないけど、志望大学には程遠いぞ」

「あぁ、その時は私立で」


奏恵はまるで他人事のようにけらけらと笑った。
奏恵自身、大学に行けようが行けまいがどうでも良かった。別に就職しても良いと思っている。
けれど奏恵の親は断じてそれを許さず、進学希望となっている。

進路指導をしている狩賀は、本人がそれで良いなら問題無いと思ってはいるが、困った事にその志望大学がとんでもなくハイレベルなのだ。
これは奏恵の希望ではなく、奏恵の両親の希望だ。


「……私立も…お前が受ける所は全部危ういぞ?」

「ありゃぁ……それは困りましたね」


へへっとはにかむ姿は可愛らしくもあるが、あまりの呑気さに腹立たしさを覚えずにはいられない。
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