悩める高校生時代
奏恵が出ていった後、狩賀は大きな溜息を吐いた。


『先生の声って、私の好きな人とそっくり』


…………要は俺じゃないわけで、何も焦る理由なんか無いのに。


あいつは突拍子もない事を平気で言うから、困る。
あんなんでやっていけるのか、本当に不安だ。…………何も俺が心配する事じゃないか。


「………将来の旦那の顔を拝んでみたいもんだ」


きっと苦労するだろうな。あんなちゃらんぽらんと結婚なんて。
…………いや、男の方も然りか。物好きにも程がある。


ふと教室の電波時計を見上げた。
―――11時23分。

あと2分で次の授業が始まる。
だが次の時間は狩賀は授業を持っていない。


「少し寝るか……」


大きく伸びをして狩賀は私物化している準備室に入った。
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