悩める高校生時代
奏恵が教室に戻ると、女の子二人が輝くような笑顔で話しかけてきた。


「ねぇ、なんて言われたの?」

「超羨ましいッ!!二人きりになれるとか!!今度授業中に“アンパンマンが飛んでる!”とか言ってみようかな?」


きゃあきゃあと盛り上がっている二人を奏恵はきょとんと見つめた。
狩賀の女子からの人気は半端じゃない。ルックスも良いし、教師なのにだらけた話し方。けれど実は教育熱心というギャップがツボらしい。


「んー、なんか………進路の話?」

「進路?」

「うん、成績が志望大学に届くだ届かないだみたいな」

「いいな~私も心配されたいぃ~」


チャイムが鳴ると同時に女の子達はうっとりとしながら席に戻っていった。奏恵も慌てて席に着いて教科書やノートを準備した。
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