天涯の花
竹井はアイスを手渡すと、何も言わず、くるりと後ろを向いて歩き出す。
その背を追って歩くのは、とても慣れ親しんだことなのに、ひどく懐かしかった。
「竹井、どこへ行くんだ」
問い掛けると、竹井は後ろを振り返る。
「ここは、太陽が多くて眩しい」
だからなのだろうか。
太陽が多いから、だからこんなに暑いのだろうか。
ヒマワリの影で、竹井の顔がよく見えない。
汗が、ぽたりぽたりと頬を伝っていった。