DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
MISSION 11 ― 犬を回収せよ ―
「えっ?犬……ですか?」
未央は思わず聞き返した。
捻挫した足もすっかり良くなり、回収の仕事を再開する事にしたのだが――
「そう。犬よ」
「犬ってあのワンワン吠える?」
「そうよ。他にいる?」
「あとはキャンキャン鳴くくらいかな」
依頼人の北野頼子は溜め息をついた。
「あなた本当に回収屋さんのティンク?」
「はぁ、一応そう呼ばれる事になっちゃったみたいです」
千聖の書いたあの記事が新聞に載って依頼、『回収屋』の未央はいつの間にか『ティンク』と呼ばれるようになっていた。
(その名前、何か馴れないのよね。仕方ないけど――)
頼子は未央をじっと見つめて肩を竦めた。
「とにかく、犬を取り返してもらいたいのよ。このあいだね、二年間一緒に住んでいた彼と別れたんだけど、その時彼が犬を連れて行っちゃったの。彼の提案でリトル―― あ、犬の名前よ。女の子なの。そのリトルにね、私と彼のどっちについて行くか選ばせようって事になって。二人でこう並んで呼んだわけ。そしたら、リトルは彼を選んで」
「だったら仕方ないんじゃ……」
思わず呟いた未央に、頼子は軽く眉を上げた。
「私もね、その時はそう思ってリトルを彼に渡したの。だけどあとでよく考えたら、リトルを買った時お金を出したのは私だし、餌を買っていたのも私なのよね」
「はあ……」
「だからリトルに選ばせるまでもなく、権利は私にあったってわけ。あ、証拠ならここにあるわよ。ほら」
頼子はハンドバックからクレジット会社の明細書を取り出し、指で示した。
「この『ペットショップ・フレンド』の、二十五万円っていうやつよ」
確かにそれは十二回の分割払いと明記されていた。
未央は思わず聞き返した。
捻挫した足もすっかり良くなり、回収の仕事を再開する事にしたのだが――
「そう。犬よ」
「犬ってあのワンワン吠える?」
「そうよ。他にいる?」
「あとはキャンキャン鳴くくらいかな」
依頼人の北野頼子は溜め息をついた。
「あなた本当に回収屋さんのティンク?」
「はぁ、一応そう呼ばれる事になっちゃったみたいです」
千聖の書いたあの記事が新聞に載って依頼、『回収屋』の未央はいつの間にか『ティンク』と呼ばれるようになっていた。
(その名前、何か馴れないのよね。仕方ないけど――)
頼子は未央をじっと見つめて肩を竦めた。
「とにかく、犬を取り返してもらいたいのよ。このあいだね、二年間一緒に住んでいた彼と別れたんだけど、その時彼が犬を連れて行っちゃったの。彼の提案でリトル―― あ、犬の名前よ。女の子なの。そのリトルにね、私と彼のどっちについて行くか選ばせようって事になって。二人でこう並んで呼んだわけ。そしたら、リトルは彼を選んで」
「だったら仕方ないんじゃ……」
思わず呟いた未央に、頼子は軽く眉を上げた。
「私もね、その時はそう思ってリトルを彼に渡したの。だけどあとでよく考えたら、リトルを買った時お金を出したのは私だし、餌を買っていたのも私なのよね」
「はあ……」
「だからリトルに選ばせるまでもなく、権利は私にあったってわけ。あ、証拠ならここにあるわよ。ほら」
頼子はハンドバックからクレジット会社の明細書を取り出し、指で示した。
「この『ペットショップ・フレンド』の、二十五万円っていうやつよ」
確かにそれは十二回の分割払いと明記されていた。