DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
MISSION 12 ― 猛犬リトル ―
音を立てないようにノブを回し、静かにドアを開ける。
玄関から明かりの点いたリビングをそっと覗き込むと、未央は辺りを見回した。
千聖の姿は無い。
おそらく部屋に居るのだろう。
「OK、いいわよ。おいで――」
声を掛けられ、リトルはドアの隙間から中へ滑り込む。
「良い子ね。吠えちゃ駄目よ」
唇に人差し指を当てて目を合わせると、気のせいか肯いた気がした。
リトルを回収した後、未央はさっそく頼子に連絡を取った。
しかし、電話も携帯の方も留守電になっていて連絡が取れなかったので、頼子の仕事先に行って退社するところを待つ事にした。
なのにたまたま通りがかった同僚から、頼子は休みで旅行に出掛けているらしいと聞かされ――
未央は仕方なくリトルをここへ連れて来る事にしたのだった。
首輪を掴んで一緒に中へ進む。
それから真っ直ぐにバスルームに行き、リトルを押し込んだ。
「いい?これからお風呂に入るの。綺麗になったら、今日は私の部屋で寝るのよ。明日になったら頼子さんの所に連れて行ってあげるから、窮屈だと思うけど、大人しくしていてね」
リトルはじっと未央を見つめて「クシュン――」とくしゃみをした。
シャンプーを掛けてゴシゴシ洗う。
それからシャワーで濯ぐと、途端に身体をブルブルと震わせて水を飛ばした。
「きゃっ!ヤダ濡れちゃった。もう、リトルったら」
今度は未央の濡れた顔を舐めた。
思わず笑顔になる。
犬がこんなに可愛いものだとは、思ってもみなかった。
未央は元々動物好きだったが、子供の頃からマンション住まいだったので犬を飼った事は一度も無かったのだ。
玄関から明かりの点いたリビングをそっと覗き込むと、未央は辺りを見回した。
千聖の姿は無い。
おそらく部屋に居るのだろう。
「OK、いいわよ。おいで――」
声を掛けられ、リトルはドアの隙間から中へ滑り込む。
「良い子ね。吠えちゃ駄目よ」
唇に人差し指を当てて目を合わせると、気のせいか肯いた気がした。
リトルを回収した後、未央はさっそく頼子に連絡を取った。
しかし、電話も携帯の方も留守電になっていて連絡が取れなかったので、頼子の仕事先に行って退社するところを待つ事にした。
なのにたまたま通りがかった同僚から、頼子は休みで旅行に出掛けているらしいと聞かされ――
未央は仕方なくリトルをここへ連れて来る事にしたのだった。
首輪を掴んで一緒に中へ進む。
それから真っ直ぐにバスルームに行き、リトルを押し込んだ。
「いい?これからお風呂に入るの。綺麗になったら、今日は私の部屋で寝るのよ。明日になったら頼子さんの所に連れて行ってあげるから、窮屈だと思うけど、大人しくしていてね」
リトルはじっと未央を見つめて「クシュン――」とくしゃみをした。
シャンプーを掛けてゴシゴシ洗う。
それからシャワーで濯ぐと、途端に身体をブルブルと震わせて水を飛ばした。
「きゃっ!ヤダ濡れちゃった。もう、リトルったら」
今度は未央の濡れた顔を舐めた。
思わず笑顔になる。
犬がこんなに可愛いものだとは、思ってもみなかった。
未央は元々動物好きだったが、子供の頃からマンション住まいだったので犬を飼った事は一度も無かったのだ。