DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「えっ?」
「リトルの話しだ」
「あ、そうか」
(えっ……と。適当に作っとかなきゃね)
千聖から目を逸らし、宙を見ながら話し始める。
「それでね、ちょっと家族揃って留守にしなくちゃいけなくなって―― えっと……そう!お祖母ちゃんの家へ行くんだって。で、リトルは連れて行けないから今日一日預かって欲しいって」
千聖に目をやり、その視線にドキッとする。
「でも、何であんたなんだ?」
「他にもね、捜したのよ預かってくれる人。でも全然見付からなくて」
未央は「ね、リトル」と続けて、本当の事を話したがる心に歯止めを掛けた。
「クゥン――」
鼻を鳴らしたリトルが不意に腰を浮かせる。
そのままソファーから降り、チャッチャッと爪の音を立てながら歩き出した。
「何?どうしたの?」
「おい、オシッコとかじゃ無いだろうな」
「だったら外へ連れて行かなきゃ」
未央は慌てて立ち上がった。
ところがリトルはテーブルの周囲をぐるりと半周して、千聖の座っている方のソファーにピョンと飛び乗った。
ゆったりと千聖の傍に座る。
「リトル……千聖の事気に入ったのね。飼い主以外の男の人には懐かなくて、噛み付くって聞いてたのに」
「犬だって人を見るのさ。自分や飼い主に対して敵意があるかどうかくらい分かるんだよ。なっ」
千聖が微笑んで、リトルの頭を撫でる。
気のせいかリトルも嬉しそうな顔をした。
煙草を揉み消した千聖が、空になったコーヒーカップを持って席を立つ。
するとリトルもソファーから降りてキッチンへ向かう千聖の後について行き、それから二杯目のコーヒーを入れた千聖を追うようにソファーに戻って来た。
今度は千聖の膝に手を乗せて寄り掛かる。
「ずいぶん気に入られたみたいだな」
リトルは尻尾をパタパタと振って、千聖の顔ばかり見ている。
未央は、公園でリトルを捨てようとしていた女性の気持ちが少し分かる気がした。
「リトルの話しだ」
「あ、そうか」
(えっ……と。適当に作っとかなきゃね)
千聖から目を逸らし、宙を見ながら話し始める。
「それでね、ちょっと家族揃って留守にしなくちゃいけなくなって―― えっと……そう!お祖母ちゃんの家へ行くんだって。で、リトルは連れて行けないから今日一日預かって欲しいって」
千聖に目をやり、その視線にドキッとする。
「でも、何であんたなんだ?」
「他にもね、捜したのよ預かってくれる人。でも全然見付からなくて」
未央は「ね、リトル」と続けて、本当の事を話したがる心に歯止めを掛けた。
「クゥン――」
鼻を鳴らしたリトルが不意に腰を浮かせる。
そのままソファーから降り、チャッチャッと爪の音を立てながら歩き出した。
「何?どうしたの?」
「おい、オシッコとかじゃ無いだろうな」
「だったら外へ連れて行かなきゃ」
未央は慌てて立ち上がった。
ところがリトルはテーブルの周囲をぐるりと半周して、千聖の座っている方のソファーにピョンと飛び乗った。
ゆったりと千聖の傍に座る。
「リトル……千聖の事気に入ったのね。飼い主以外の男の人には懐かなくて、噛み付くって聞いてたのに」
「犬だって人を見るのさ。自分や飼い主に対して敵意があるかどうかくらい分かるんだよ。なっ」
千聖が微笑んで、リトルの頭を撫でる。
気のせいかリトルも嬉しそうな顔をした。
煙草を揉み消した千聖が、空になったコーヒーカップを持って席を立つ。
するとリトルもソファーから降りてキッチンへ向かう千聖の後について行き、それから二杯目のコーヒーを入れた千聖を追うようにソファーに戻って来た。
今度は千聖の膝に手を乗せて寄り掛かる。
「ずいぶん気に入られたみたいだな」
リトルは尻尾をパタパタと振って、千聖の顔ばかり見ている。
未央は、公園でリトルを捨てようとしていた女性の気持ちが少し分かる気がした。