DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
MISSION 13 ― 蔦の洋館 ―
千聖が影を持つ【七つの石】の一つ、【エターナル・グリーン・アイビー】の情報を耳にしたのは同じ関東日報の記者、溝口からだった。
溝口は千聖の大学時代からの親友。
高校、大学とずっとラグビーをやっていて、身長は千聖より高く、体格はがっちりしている。
一言で言えば、気は優しくて力持ちという男だ。
「このあいださ、大学時代の同級生と偶々遭って久し振りって事で銀座へ飲みに行ったんだよ」
「へぇ……銀座か。高く付いただろ?あそこは高級な店ばかりだから」
廊下に置かれた長椅子に腰掛け、千聖は紙コップのコーヒーを口に運ぶ。
「そいつさ、親の仕事を引き継いでて結構金回りが良くて。話聞いてて羨ましかったよ」
煙草をふかした溝口は、溜まった灰を灰皿へ落とした。
「それより、その店で面白い話聞いたんだ」
「場所的に言って、政治家の汚職ネタか何かか?」
「いや、そっちじゃ無くて俺達に関係ある方だ」
千聖は不思議そうに溝口を見た。
政治家に関する事なら、普通は政治部だ。
だが溝口は俺達、つまり社会部に関係があると言った。
それではいったいどんな話なのだろう?
考えている千聖に構わず、溝口は続けた。
「俺達のすぐ後ろの席に座っていた背の高い男と、金はあるがちょっとしょぼくれた風采って感じの親父だったな。そいつらが話していたんだよ。【影】のある石の事」
「えっ――」
思わず声が出た。
どうだ?驚いただろうと言わんばかりに溝口が胸を張る。
「【影】の石って言えばコメットだ。次に狙われるのはそこかも知れない。だから出来るだけ耳を澄まして聞いて来ちまったよ。おまえが書いたティンクの記事あっただろ?コメットでああいうのが出来たら最高だと思ってさ」
溝口は、もうそれが出来ると決定した事のように嬉しそうだ。
溝口は千聖の大学時代からの親友。
高校、大学とずっとラグビーをやっていて、身長は千聖より高く、体格はがっちりしている。
一言で言えば、気は優しくて力持ちという男だ。
「このあいださ、大学時代の同級生と偶々遭って久し振りって事で銀座へ飲みに行ったんだよ」
「へぇ……銀座か。高く付いただろ?あそこは高級な店ばかりだから」
廊下に置かれた長椅子に腰掛け、千聖は紙コップのコーヒーを口に運ぶ。
「そいつさ、親の仕事を引き継いでて結構金回りが良くて。話聞いてて羨ましかったよ」
煙草をふかした溝口は、溜まった灰を灰皿へ落とした。
「それより、その店で面白い話聞いたんだ」
「場所的に言って、政治家の汚職ネタか何かか?」
「いや、そっちじゃ無くて俺達に関係ある方だ」
千聖は不思議そうに溝口を見た。
政治家に関する事なら、普通は政治部だ。
だが溝口は俺達、つまり社会部に関係があると言った。
それではいったいどんな話なのだろう?
考えている千聖に構わず、溝口は続けた。
「俺達のすぐ後ろの席に座っていた背の高い男と、金はあるがちょっとしょぼくれた風采って感じの親父だったな。そいつらが話していたんだよ。【影】のある石の事」
「えっ――」
思わず声が出た。
どうだ?驚いただろうと言わんばかりに溝口が胸を張る。
「【影】の石って言えばコメットだ。次に狙われるのはそこかも知れない。だから出来るだけ耳を澄まして聞いて来ちまったよ。おまえが書いたティンクの記事あっただろ?コメットでああいうのが出来たら最高だと思ってさ」
溝口は、もうそれが出来ると決定した事のように嬉しそうだ。