DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「おやおや……随分と幼い子ネズミだ。これではすぐに勝負がつきそうだな。まあいい。ショータイムを楽しむとしよう」
赤峰は喉の奥でクックッと笑うと、片手を上げた。
それにチラリと目をやった銀の首輪の犬が小さく唸ると、犬たちはふいに行動を変えた。
今度は低く身構えて、唸りながら未央に近付きだしたのだ。
「ガウゥゥゥ……ウゥゥ……」
「来ないで……来ないでってば……」
念仏を唱えるように繰り返しつつ、少しずつ後ろへ下がる。
それでも足を止めない犬が、そのスピードを上げた瞬間――
「嫌、来ないでえっ!」
走ってはいけないと十分わかっていたにも関わらず、未央は思わず駆け出した。
赤い首輪の犬が後を追い、その小さな背中に飛び掛かる。
体当たりをされて芝生に転がった未央に覆い被さり、直後に押し退けようとする未央のTシャツの袖に噛み付いて思い切り首を振った。
「きゃぁああああっ!」
続けて襟元に食い付き、今度は身体ごと振り回す。
Tシャツが牙に引き裂かれて胸元が露わになり、未央は叫び声を上げた。
「嫌ぁああ――!」
小さな口笛の音に一旦犬が離れる。
未央は急いで跳ね起きて、絵を拾い上げしっかりと胸に抱き締めた。
「クックックッ……ギブアップも近いな」
赤峰は笑いを噛み殺すと、未央を食い入るように見つめた。
(恐い―― 誰か……誰か!)
「誰か助けてぇえええぇっ!」
赤峰の合図に、再び赤い首輪の犬が構える。
そして勢い良く芝生を蹴った次の瞬間――
「ギャゥン!」
突然未央の前に立ちはだかった人影に思いっ切り鼻面を蹴られて、犬は悲鳴を上げた。
赤峰は喉の奥でクックッと笑うと、片手を上げた。
それにチラリと目をやった銀の首輪の犬が小さく唸ると、犬たちはふいに行動を変えた。
今度は低く身構えて、唸りながら未央に近付きだしたのだ。
「ガウゥゥゥ……ウゥゥ……」
「来ないで……来ないでってば……」
念仏を唱えるように繰り返しつつ、少しずつ後ろへ下がる。
それでも足を止めない犬が、そのスピードを上げた瞬間――
「嫌、来ないでえっ!」
走ってはいけないと十分わかっていたにも関わらず、未央は思わず駆け出した。
赤い首輪の犬が後を追い、その小さな背中に飛び掛かる。
体当たりをされて芝生に転がった未央に覆い被さり、直後に押し退けようとする未央のTシャツの袖に噛み付いて思い切り首を振った。
「きゃぁああああっ!」
続けて襟元に食い付き、今度は身体ごと振り回す。
Tシャツが牙に引き裂かれて胸元が露わになり、未央は叫び声を上げた。
「嫌ぁああ――!」
小さな口笛の音に一旦犬が離れる。
未央は急いで跳ね起きて、絵を拾い上げしっかりと胸に抱き締めた。
「クックックッ……ギブアップも近いな」
赤峰は笑いを噛み殺すと、未央を食い入るように見つめた。
(恐い―― 誰か……誰か!)
「誰か助けてぇえええぇっ!」
赤峰の合図に、再び赤い首輪の犬が構える。
そして勢い良く芝生を蹴った次の瞬間――
「ギャゥン!」
突然未央の前に立ちはだかった人影に思いっ切り鼻面を蹴られて、犬は悲鳴を上げた。