DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
おそらくそれは、水晶の中に別の色の水晶が入り込んだマニフェストクォーツだろう。
「そして、見る角度によって何故かその月が満月になったり三日月になったり―― それはそれは不思議な物でしたわ」
瞳は空にポッカリと浮かんでいる月を見ながら、夢見るように目を細めた。
(月が満ち欠けする―― という事は白い月を遮るもう一つの何かがあるということだ。もう一つの何か……【影】か !?)
千聖はふいに立ち上がった。
「どうかなさいましたの?」
「いいえ、別に。けれども僕はもうそろそろ社に戻らなくては」
答えてさり気無く腕時計へ目をやる。
瞳は千聖の仕草に小さく溜息を漏らした。
「あら、もう行っておしまいになるの?残念ですわ」
「僕も残念です。だけど仕事が――」
「お仕事では仕方ありませんわね」
呟いて瞳も立ち上がり、千聖からクレオパトラを受け取る。
「ニャォオオン……」
「あら、クレオパトラもアントニウスとのお別れを残念がっていてよ」
「ごめんよ、クレオパトラ」
二人は顔を見合わせて笑った。
「でも今日はあなたにお会いできて良かった。興味深い話が聞けて」
「話しだけですか?」
問われて千聖は口角を引き上げた。
瞳が何を期待しているか解ったからだ。
「そして、見る角度によって何故かその月が満月になったり三日月になったり―― それはそれは不思議な物でしたわ」
瞳は空にポッカリと浮かんでいる月を見ながら、夢見るように目を細めた。
(月が満ち欠けする―― という事は白い月を遮るもう一つの何かがあるということだ。もう一つの何か……【影】か !?)
千聖はふいに立ち上がった。
「どうかなさいましたの?」
「いいえ、別に。けれども僕はもうそろそろ社に戻らなくては」
答えてさり気無く腕時計へ目をやる。
瞳は千聖の仕草に小さく溜息を漏らした。
「あら、もう行っておしまいになるの?残念ですわ」
「僕も残念です。だけど仕事が――」
「お仕事では仕方ありませんわね」
呟いて瞳も立ち上がり、千聖からクレオパトラを受け取る。
「ニャォオオン……」
「あら、クレオパトラもアントニウスとのお別れを残念がっていてよ」
「ごめんよ、クレオパトラ」
二人は顔を見合わせて笑った。
「でも今日はあなたにお会いできて良かった。興味深い話が聞けて」
「話しだけですか?」
問われて千聖は口角を引き上げた。
瞳が何を期待しているか解ったからだ。