DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「寒いんじゃありませんか?」
「ああ……声も似ているわ。まるであの頃に戻ったみたい。楽しかったあの頃に……」
竹筒に流れ込む水の音と、獅子おどしの音が交互に聞こえて来る。
秋江はポケットから白いハンカチを取り出して、涙を拭った。
「ありがとう……もういいわ。あなたは本当に優しい人ね。自分を独りぼっちにした、憎んでも憎んでも憎みきれないこんな私に優しくしてくれるなんて。……でも、もう行ってちょうだい。人が来ないうちに。今度いらした時には、きっと御両親の事をお話ししますから」
「はい。―― 失礼します」
千聖は丁寧に頭を下げ、秋江に背を向けた。
…★……★……★…
☆NEXT☆
「何だよ質問って」
「いいからいいから、千聖は答えてくれればいいの。じゃあ1問目。キスは好きですか?」
「えっ―― まあ嫌いじゃ無いけど」
「好き……と。2問目。ソフトな感じとハードな感じ、どっちが好きですか?」
「……その時による」
「どっちも。次、一日にどれくらいの数を――」
「あのなあ、何でそんなこと答えなきゃならないんだよ!」
「だってチョコレート会社のアンケートなんだもん」
「なんだ……そうか」
「――?何だと思ってたの?」
(そんなこと子供の前で口に出来るか……)
MISSION 19
― エターナル・グリーン・アイビーを回収せよ ― へ続く。