DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
MISSION 19 ― エターナル・グリーン・アイビーを回収せよ ―
町が夕闇に包まれる頃――
未央は学校から戻り着替えを済ませると、ソファーの上にバタンと倒れた。
天井をじっと見つめる。
そしてまた千聖の事を考え始めた。
(千聖の両親は、ホワイトローズ号の事故で亡くなった。そしてお父さんの集めていた絶対売らないはずの石は、他人の手に――。コメットは何故かその石を集めている)
未央は心の中で呟きながら、千聖の部屋のドアに目をやった。
(知りたい。千里がコメットなのか、そうでないのか。―― そうだ、部屋を……千聖の部屋を調べてみよう。そうすればきっと――)
徐に立ち上がり千聖の部屋の前に立つと、未央は他には誰も居ないにも関わらずそっとノブを捻った。
そのまま部屋に入って明かりをつける。
未央の使っている部屋より広い。
(これが千聖の部屋……)
男の子の部屋は響の所へ何度か遊びに行った事があったので、初めてでは無かった。
でも何故か胸がドキドキした。
本人が居ない間に忍び込んだからという事でも無く、見付かったら怒鳴られるからというのでも無く――
何だか分からないものが、未央の胸を支配していた。
辺りを見回す。
そこは響の部屋とは違い、フィギュアやプラモデル、ポスターなどは一切無かった。
壁際にぐるりと置かれた本棚には、たくさんの本が並んでいる。
鉱物に関する本。
コンピューターに関する本。
建築物に関する本。
化学の本。
心理学の本。
色々なジャンルの、様々な本――
その多さは、本の重さで床が抜けるのではないかと思われるほどだった。
他には立派な机と、おそらく両親の物だったのだろう大きなベッド。
その一つ一つの前に行き、未央は思うままに色々な物を手に取ってみた。