DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「【ゴールデン・ディアー】、【プリンセス・スノー・ホワイト】、【アップル】、【エターナル・グリーン・アイビー】、【マジカル・ムーン】……これでコメットの手に渡った物は五つ。順調なようだね。神部」
「ええ、全て計画通りです。あとは私の【ワンダー・イーグル】とあなたの【アイズ・オブ・マドンナ】の二つを奴が手に入れれば――」
「鍵は彼が解いてくれる」
「もう少しですね」
神部が微笑み、プランディーグラスを軽く掲げる。
中の琥珀色の液体をゆっくりと味わい、そしてまた口を開いた。
「しかし……私の石はともかく、あなたの石はどうやって手に入れさせるのですか?」
「心配ない。ちゃんと考えてある。神部」
呼ばれて傍に寄った神部の耳元に囁き、窓際の高い背凭れの椅子にゆったりと座った男は葉巻に火をつけた。
「……なるほど。では直ぐに手を回しましょう」
「ああ、任せたよ。そして彼は石を手に入れ、また一歩宝に近付く」
「そしてあなたも……」
「君が私の邪魔をする者を排除してくれたおかげだよ」
男が葉巻の灰を落としながら、口角を引き上げる。
「それが私の仕事ですから」
神部は男の言葉にもう一度グラスを掲げて微笑んだ。
…★……★……★…
☆NEXT☆
「ね、千聖。その女性、誰?何しにここへ?」
「何でもいいだろ、あんたには関係無い」
「私は真紀子よ。ここへ泊まりに来たの」
「そっ……そうなんだ。良かった」
「あら、どうして?」
「だって私、少し心配してたの。千聖、全然彼女いないみたいだったから、もしかしたら男の人が好きなのかな?と思って」
「よく分かったな」
「えっ―― 嘘……」
「冗談に決まってるだろ」
MISSION 20
― 揺れ動く心 ― へ続く。