DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「それで見付けたのよ。あちこち手を回して一つだけ。【アイズ・オブ・マドンナ】って言うスターサファイアなんだけど、まだその石は盗まれていないわ。という事は、これからそれを狙って彼が現れる可能性があるって事」
【アイズ・オブ・マドンナ】は残り二つのうちの一つ。
いったい何処にあると言うのだろう。
目の前のグラスを手に取って一気に飲み干した千聖を、真紀子はじっと見つめた。
「興味ありそうね」
「そりゃぁ……無いと言えば嘘になる」
「嘘つきね。ハッキリ言いなさいよ」
少し間を置いて、真紀子は千聖の反応を確認しているようだった。
「嘘つきは泥棒の始まりって言うでしょ?」
(悪かったな、泥棒で。けど余計なお世話だ)
思っても口に出来ない言葉を、千聖は頭の中だけで返した。
「言いなさいよ。ほら、正直に『ある』って」
「―― あるよ」
「それでいいのよ。自分の心には正直でなくちゃ」
やっと自分の思い通りの言葉を得られ、真紀子は微笑んだ。
「それならあなたにも手伝って貰えるわ」
「えっ?」
思わず真紀子を見る。