DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
予想通りだった。
そんな事、今さら未央の口から聞かなくても分かっていた。
未央が千聖のマンションへ荷物を運ぶと言い出した時、いつかきっとこうなるだろうと思っていた。
思っていながら手伝った。
響は溜め息をついた。
「んな事分かってたさ。だから気にするなよ。俺、そんなに心の狭い奴じゃないから、これからだっていくらでも相談に乗るぜ。だってよ、未央のこと一番理解しようとしているのって俺じゃん?」
「響……」
「俺、頭は良くないしおまけに短気だけど、話しを聞くぐらいは出来るから。って言うか、聞きたいから。未央のために何かしてやりたいから。兄貴だと思って何でも話してくれよ。な?」
目にいっぱい涙を溜めた未央が肯く。
「ありがとう響」
「うん。やっぱ、俺ってカッコイイよな」
「フッ……やだ、響ったら」
涙を拭きながら笑った未央に、響は微笑んだ。
精一杯無理をして作った笑顔だった。
…★……★……★…
☆NEXT☆
「千聖……それってホント?」
「ああ、本当だ」
「信じていいの?」
「ああ、信じていいよ未央」
「今、私のこと未央って……嬉しい。私、その言葉ずっと聞きたかったの。だって、だって……」
「だって?」
「千聖、私の名前憶えられ無いのかと思ってたんだもん」
「俺は馬鹿か?」
MISSION 21
― アイズ・オブ・マドンナ ― へ続く。