DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~

「石はどうなったのかしら……」

 片方の目が無い。

 吸い寄せられるように近付くと、ライトに照らし出された女神像の胸元に一枚のカードが付けられていた。

『マドンナの熱い眼差し。頂きます』

「やられたわ……傍に居たのに―― すぐ傍に居たのに!どうして!」

「俺が噴水に入った時には、もう誰も居なかったぜ」

 千聖はすました顔で肩を竦めて見せた。

「分かってるわ、だってその時彼は既に私のほぼ真上に居たんだもの。でもいったいどうやってあんな短い時間に――」

「だから言ったんだ。無理だって」

「く―― 悔しいっ!」

(これで六個。あと一つ……)

 地団太を踏んで悔しがる真紀子の傍で、千聖はポケットに片手を入れて【アイズ・オブ・マドンナ】の冷たい感触を楽しんでいた。



…★……★……★…


☆NEXT☆

「ね、響。お願いがあるんだけど」

「なんだ?言ってみろよ」

「あのさ、響の車でドライブに連れてってくれない?」

「おぉおっ!もちろんOKだぜ!やっとその気になってくれたか!待ってた甲斐があったぜ!」

「帰りは夜遅くなりそうだから、必要な物は持って来てね」

「『夜遅くに必要な物』って……アレか?ず、随分いきなりだな」

「………?」

「あ、でもおまえがいいって言うなら俺の方はいつでもOK――」

「響……なんか……身の危険を感じるんだけど」


  MISSION 22
  ― 船上パーティーへの誘い ― へ続く。



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