DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
賑やかな会場をあとにしてデッキに出る。
途端に、冷たい夜の風が頬を撫でた。
長い髪が結い上げられているせいで剥き出しになった肩が寒そうに見え、思わず問い掛ける。
「寒くありませんか?」
ストールを受け取り肩に掛けてやると、瞳は満足そうに微笑んだ。
なるべく風の当たらない場所を探して、ベンチに並んで座る。
「やっぱり少し寒いですわ」
途端に、瞳が身体を預けてくる。
予想通りの展開に千聖はフッと笑った。
「中へ戻りますか?」
「いいえ―― こうしていれば大丈夫」
答えながら両手を千聖の背中に回す。
未央と違って良く育った豊かな胸が身体に触れて、ドキッとする。
「今日も私から誘わなければ、キスしてくださらないのですか?やっぱり私、魅力ありません?」
「そんな事は――」
瞳の言葉にこのあいだの未央を思い出す。
『私やっぱりまだ女性としての魅力無いのかなって思ったりして』
何故、女性はみんな同じ事を言うのだろう?
男の狩猟本能を掻き立てるだけが魅力では無いのに。
魅力など感じ無くても、相手を押し倒すことは出来るのに。
「千聖さん……」
呟いた瞳に顔を近付ける。
後ろめたさを感じながら、千聖は瞳に口づけた。
…☆…