DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
MISSION 25 ― 初めての……? ―
「この石を使って謎を解くんでしょ?」
「ああ」
翌日の夕食後、未央はテーブルの上に並んだ七つの石をじっと見つめた。
「影以外何も見えないね」
またじっと見る。
ソファーから立ち上がって床へ座り、今度は手を伸ばして石を手にした。
もう一つ手にする。
そして少し考えて、元あった場所とは逆に置いた。
また別の石を手にして入れ替える。
それを何度か繰り返して、溜め息をついた。
じっと見ていた千聖が、首を傾げて問い掛ける。
「何やってるんだ?」
「何となく――」
途端に、千聖はフッと笑った。
「何となくじゃ駄目だよ。根拠がなくちゃ」
「そうか……」
未央はペロリと舌を出した。
千聖が頭にポンと手を置く。
「影の名を呼び頭を捻れば、自ずからその姿現れん。守護者の加護を受けしものに影を捧げ、その背に描かれし所、石の数示せば宝の箱開く」
まるで呪文のように唱えながら、それを紙に書く。
「何?それ」
「父さんのメモと一緒にあった文だ。石の謎を解くためのものだろう」
「ふぅん……千聖分かるの?それの意味」
テーブルへ頬杖をついて見上げた未央に、千聖が微笑む。
「文自体はそんなに難しいものじゃない。だから――」
そして、手を伸ばし文を指さした。
「まず【影の名】と言うのは、影の石に付けられている呼び名だろう」
「それならその続きの【頭を捻れば】は、【考えれば】って事かな?」
「俺もそう思う」
「エヘヘ」
千聖の答えに、未央は満足そうに笑った。