DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「たびたび出てくる【その】は、【加護を受けしもの】と同じ物。【影を捧げ】は影の石を【加護を受けしもの】の前に置くか、並べるという事だろうな。【その背に描かれし所】は」
「【加護を受けしもの】の背中に地図が描いてあるって事ね。じゃあ後の【石の数示せば宝の箱開く】は石の数、【7】を示したら宝の箱が開くって事なんだ」
続けた未央に千聖が肯く。
「多分な」
今度は暫く考えてから、未央が口を開く。
「ねえ千聖」
「何だ?」
「あのさ、【守護者】って護ってる物だよね。また犬かな?」
「いや――」
どこか不安そうな未央へ、チラリと視線を走らせる。
「……モンスターかも知れない」
「えっ――」
「プッ……」
思わず真剣な顔になった未央を見て、千聖は吹き出した。
「冗談だよ。【加護を受けしもの】を護っている、おそらく何かの仕掛けだろう」
「よかった。RPGのゲームみたいにバトルするのかと思っちゃった」
「そんなわけ無いだろ」
「そうだよね」
安心したように未央が大きく息を吐く。
その様子に、千聖は微笑んだ。
「じゃあ頭、捻らなきゃね」
未央は千聖に微笑み返すと、今度は口の中で何か呟きながら石を並べ替えた。
「今度は何の順番だ?」
「えーとね、出席番号順よ」
「えっ?」
「ほら、学校の」
「なんだそれ?」
「あいうえお順よ。【アイビー】・【アップル】・【イーグル】って。変?」
「石の名前が英語なんだから、それをやるならアルファベット順だろう。【APPLE】・【DEER】・【EAGRE】って。未央の並べ方だと【I】・【A】・【E】まるでアナグラム……」
ふいに言葉を止めると、千聖は顎に手を当てた。