DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「もうたくさんだ。もう嫌なんだ……俺のせいで人が死ぬなんて……もう………」
そのまま膝を抱えてうずくまる。
肩が震えていた。
五歳も年上なのに、小さく見えた。
(千聖が……泣いてる。私はなんて声を掛けてあげればいい?パパ、ママ何をしてあげればいいの?千聖を好きなのに……何でもしてあげたいのに……分からない………分からないよ……)
言葉が大きな塊になって胸を締め付ける。
未央は何も言えずに、ただ千聖を見つめた。
「だから……未央が俺を好きだから俺のために何かしたいというのなら、俺はもう俺に関わるなって言いたい。未央を好きだから………これ以上自分のせいで誰も不幸にしたくないから……未央を不幸にしたくないから……もう俺に構わないでくれ」
フラリと立ち上がった千聖は、また少し微笑んでから未央の視線から逃れるように自分の部屋に入って行った。
…★……★……★…
☆NEXT☆
「千聖、キャバレーって好き?」
「まあ、嫌いじゃないな」
「どんな所?」
「えっ―― あの……綺麗なお姉さんがいて、いろいろなサービスしてくれる所だ。でも、何でそんなこと訊くんだ?」
「今度の依頼のために調べに行かなきゃならないの。でも良かった。楽しい所なんだ。それじゃあバイトの振りして調べてこようっと。楽しみだなぁ」
「未央………」
(やっぱりホントの事教えた方が良かったかな^^;)
MISSION 27
― 忍び寄る影 ― へ続く。