DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
狂気に満ちた眼差し。
楽しくて仕方が無いと言わんばかりに引き上げられた口角。
船上パーティーで多くの客に向けられていた穏やかな笑みではなく、今にも喉笛に喰らいつきそうなその表情こそ、この男の本当の姿だと思える。
神部はそのまま暫く千聖をみつめ、口を開いた。
「そうだ、尤も確実に相手を仕留める方法を教えてあげよう。それは―― こうする事だ !!」
言葉と同時に、逆手に握られたナイフが神部の頭上に高く上がる。
鋭く尖った切っ先が冷たい光を放つ。
「嫌ぁああぁっ!止めてぇえええぇっ !!」
未央が頭を抱えて悲鳴を上げた瞬間――
「止めて!裕一さん!止めさせて !!」
聞き覚えのある声に、神部は手を止めた。
…★……★……★…
☆NEXT☆
「真実はこういう事なのよ」
「俺はじいちゃんの血を分けた子……」
「分かって頂けたかしら?」
「俺は父さんの子……じゃあ俺は……俺は――!」
「千聖はお爺さんと父さんの子?……ええっ !?」
「未央……今、何考えたんだ?」
MISSION 32
― 箱の中の真実 ― へ続く。