DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
未央はしばらくの間千聖をじっと見ていたが、気を取り直したように横から新聞を覗き込んだ。
少し微笑んで口を開く。
「だけど鹿の影が入ってるなんて変わってるね。珍しいし、綺麗―― あれ?」
首を捻る。
それから頬に手を当て、上目遣いで天井を見た。
「私……それと似たようなのを何処かで見た事ある。中に影……ウサギみたいな影があった」
「えっ?」
「うん、そう―― あれってダイヤモンドだったと思う――」
「何処だ !? それ何処で見た!」
突然叫んで肩を掴んだ千聖を、未央は驚いた目で見つめた。
「千聖―― どうしたの?」
「教えてくれ!いつ何処で見たのか」
「痛い―― 離して、千聖!痛い!」
未央の大きな声に、千聖はハッと我に返った。
「あ―― ごめん」
慌てて手を離し、同時に千聖は顔を背けた。
不覚だった。
一刻も早く全ての石を手に入れたいと焦っていた自分に腹が立った。
「いいけど……どうしたの?千聖」
「何でもない、もういいよ」
「でも、急に―― それに何故そんなに石の事――」
「何でもないって言ってるだろう!あんたいちいち煩いんだよ!」
問い詰められると、千聖は苛立ちを隠そうともせず立ち上がって怒鳴りつけた。
「千聖……」
「いいか、ここにいたければ俺に構うな。それが嫌ならさっさと出て行け!あんたとは赤の他人なんだ。何の関係も――」
驚いた様子の未央が目に飛び込み、咄嗟に言葉を止める。
頭が少し冷静を取り戻して、今度は静かに口を開いた。
「―― とにかく、放っておいてくれ」
それから東の部屋のドアに歩み寄り、ノブを掴んだ。
少し微笑んで口を開く。
「だけど鹿の影が入ってるなんて変わってるね。珍しいし、綺麗―― あれ?」
首を捻る。
それから頬に手を当て、上目遣いで天井を見た。
「私……それと似たようなのを何処かで見た事ある。中に影……ウサギみたいな影があった」
「えっ?」
「うん、そう―― あれってダイヤモンドだったと思う――」
「何処だ !? それ何処で見た!」
突然叫んで肩を掴んだ千聖を、未央は驚いた目で見つめた。
「千聖―― どうしたの?」
「教えてくれ!いつ何処で見たのか」
「痛い―― 離して、千聖!痛い!」
未央の大きな声に、千聖はハッと我に返った。
「あ―― ごめん」
慌てて手を離し、同時に千聖は顔を背けた。
不覚だった。
一刻も早く全ての石を手に入れたいと焦っていた自分に腹が立った。
「いいけど……どうしたの?千聖」
「何でもない、もういいよ」
「でも、急に―― それに何故そんなに石の事――」
「何でもないって言ってるだろう!あんたいちいち煩いんだよ!」
問い詰められると、千聖は苛立ちを隠そうともせず立ち上がって怒鳴りつけた。
「千聖……」
「いいか、ここにいたければ俺に構うな。それが嫌ならさっさと出て行け!あんたとは赤の他人なんだ。何の関係も――」
驚いた様子の未央が目に飛び込み、咄嗟に言葉を止める。
頭が少し冷静を取り戻して、今度は静かに口を開いた。
「―― とにかく、放っておいてくれ」
それから東の部屋のドアに歩み寄り、ノブを掴んだ。