DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
燃え上がる炎の明るさの中、突然現れた二人に注目が集まる。
千聖は大きく息を吸い込むと、今まさに沈み行くクレイドル号を指さした。
「大変だ!誰か警察に電話してくれ!まだ人が乗っているんだ !!」
途端に人々の視線はクレイドル号へと向き、千聖と未央に目をやる者は誰もいなくなった。
「未央!こっちだ」
騒ぎに紛れ、走り出す。
千聖と未央を助け上げたさっきのロープが、橋の欄干を縫うように続いている。
それを辿るように進むと、一台の4WDに繋がっていた。
「あれ、千聖の車?」
「そうさ。さっきのロープはあの車のウインチで引き上げていたんだ」
ロープを外しながら、千聖が答えた。
「でも運転は誰が――」
未央の言葉を遮るように、4WDのドアが開く。
中から出て来たのは――
「未央!」
「響!どうして……」
「説明は後だ!早く乗って」
遠くからパトロールカーの音が近付いて来る。
「今日は最高だよ!だって未央も帰ってきたし、それに俺、一度でいいから四駆運転してみたかったんだ」
千聖と未央が乗り込むと、響はアクセルを踏み込み嬉しそうに微笑んだ。
…★……★……★…
☆NEXT☆
「次はいよいよ最終回か」
「そうだね……」
「なんだよ。二人ともニヤニヤして」
「だって……ねぇ千聖」
「……まあな」
「面白くねぇな。二人とも何か隠してるだろ。まさかデートとか?そんでもってあんな事して、こんな事してとか !? ああ、やだやだ!羨ましいんだから」
「えっ?」
「あ、違った。いやらしいんだからだった」
「響ったら……」
MISSIO 33
― 聖なる夜に ― へ続く。