DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
MISSION 3 ― プリンセス・スノーホワイト ―
「未央」
月曜日の昼休み。
中庭で女友達と弁当を食べていた未央に、響が声を掛けてきた。
「なあに?響。何か用?」
「もう飯食った?」
「うん、終わったけど」
「じゃあちょっといいかな。訊きたい事あるんだ」
未央の返事を聞き、響はまだ箸を握っていた腕を引っ張った。
「わぉっ!熱いなあ、お二人さん」
途端に未央の隣に居た、友人の秋元久乃が囃し立てた。
「やだな、久乃。そんなんじゃないわよ。―― なんなの?響、ここじゃ駄目なの?」
「いいから行ってあげなさいよ。二人きりの方がいい話しだってあるんだから。お弁当箱は私に任せて」
「そんなんじゃないって―― あ……響!」
まるで久乃の言葉が聞こえなかったかの様な響に強引に引っ張られ、未央は立ち上がると仕方なく後について行った。
響は無言のままどんどん歩いて行く。
そして体育館の裏に差し掛かると、やっと足を止めた。
「なんなの?こんな所に連れて来て。響らしくないわ」
「おまえ、家留守にして何処に行ってたんだ?」
未央の方に向き直ると、響はいきなり問い掛けた。
そういえば響には何も伝えてなかったのだ。
「このあいだ映画に行った金曜日からずっと家に帰っていないだろう?いったい何処で何してたんだよ!」
「響……」
いつもと違う響に、未央は驚いたように顔を見つめた。
「俺、おまえの家に電話したんだ。だけど何度かけても留守だし、携帯電話も電源切れたままだし。だから昨日マンションに行ってみた。でも留守だった。新聞も二日分溜まってた」
「ごめん。心配してくれてたんだ」
「だっておまえ一人暮らしだから、何かあったんじゃないかってそればっかり頭に浮かんで―― 生きた気がしなかった」
「ホントにごめん。響には連絡しておけば良かったね」
いつに無く真剣な顔で告げられた言葉に未央が微笑むと、響は目を逸らした。